KIMURA PLUS(旧館)

個人の感想です

意志力と瞑想についての話

やらなきゃいけないことがある。だけど、いざ実行しようとすると、やりたくないという気持ちがわいてくる。焦燥感で胸が押しつぶされそうだ。ちょっと忘れていようと、iPhoneをいじってSNSのタイムラインをながめて横になる。当然何も解決しない---ということがしばしばある。とても嫌な気持ちだ。

やるべきことをすぐに行う力<意志力>があれば、こんな嫌な気持ちにならないのにな、と思う。

意志力

Twitterのタイムラインを眺めず、すぐに食器を洗うことができれば妻を怒らせずにすむのに、あるいは空き時間を使って勉強を行えば将来の収入が違ってくるのに、分かっていながらも行動を起こせない。自分は自分をコントロールすることができない。これはなんとかしたいなと思っていたとき、妻が持っていた『スタンフォードの自分を変える教室(The Will Power Instinct)』を読んだ。この本は2013年のベストセラー - Amazon.co.jp「Best of 2013」にも選ばれた - 本だから知っている人も多いと思うけど、意志力について書かれた本だ。意志力とは、やるべきことを"やる力"、あるいはやってはいけないことを"やらない力"、要するに自分を自分でコントロールする力のこと。

この本を読んだ後、自分は確かに変わった。どう変わったか。まず、瞑想をするようになった。それから、感情や行動が制御できていると感じることが多くなってきた。

スタンフォードの自分を変える教室

スタンフォードの自分を変える教室

意志力を鍛える瞑想

意志力というのは筋肉と同じようにトレーニングで鍛えることができる。瞑想も意志力を鍛えるトレーニングの一つだ。 瞑想は意志力を高めるほか、ストレスやPTSDの緩和に効果がある。時間はそんなに長くなくてもいい。自分は夜に寝る前に5分前後やることにしている。もう少し慣れてきたら時間を伸ばしていきたいと思っている。

どうやって瞑想を行うか

「自分を変える教室」で示されている瞑想の方法は以下の3ステップ。難しくはないと思う。

  1. 動かずにじっと座る。椅子に座るか、あぐらをかいて背筋を伸ばし、手を膝の上におく。
  2. 目を閉じるか、どこか1点に視点を集中させる。「吸って」「吐いて」と心の中で言いながら、呼吸に意識を集中させる。
  3. 数分たったら「吸って」「吐いて」と心のなかでいうのをやめ、呼吸をしているときの感覚をつかむ。気が散りはじめたらまた呼吸を意識する。

さらにいうと、呼吸は腹式呼吸のほうがいいと思う。腹式呼吸は深く息ができる。妻がヨガをやっているので、ヨガの腹式呼吸を教えてもらった。腹式呼吸が分からなかったらYoutubeでヨガの腹式呼吸の方法を見ると分かりやすいと思う。

本当に効果があるのか

瞑想の効果について本当かな?と疑問を持つ方もいると思う。「スタンフォードの自分を変える教室」にはこう書いてある。

神経科学者の発見によれば、瞑想を行うようになると、脳が瞑想に慣れるだけでなく、注意力、集中力、ストレス管理、衝動の抑制、自己認識といった自己コントロールの様々なスキルが向上します。瞑想を定期的に行えば、たんに瞑想がうまくなるだけではありません。やがて、脳はすぐれた意志力のマシーンのように発達します。定期的に瞑想を行う人の場合、前頭前皮質や自己認識のために役立つ領域の灰白質が増加するのです

本当だろうか。別な資料も見てみよう。アメリカの国立衛生研究所の下部組織、国立補完統合ヘルスセンターの瞑想についてのサマリーを見てみよう。

(それにしても補完医療を税金かけて評価しているアメリカすごい。日本だと明治大学が似たことをやっていたかな。)

nccih.nih.gov

2012年の系統的レビューと36のランダム化比較試験のメタ分析によると、それらのうち25の研究では、瞑想をしているグループは対照のグループよりも「不安」に対して、統計的にすぐれた結果がみられた。

A 2012 systematic review and meta-analysis of 36 randomized controlled trials found that 25 of them reported statistically superior outcomes for symptoms of anxiety in the meditation groups compared to control groups.

不安に対して強くなるということはつまり、ストレスに対して強くなるということか。ストレスは意志力を発揮する際に邪魔になるものだから、なるほどと思う。 次のものも面白いと思った。

2012年の研究によると、研究者は、大人の、瞑想者50人と非瞑想者50人の脳のスキャン画像を調べた。結果は、何年もの瞑想の習慣がある人は脳の外側のシワが多かったことを示唆していた。このプロセス(グリフィケーション)は、脳の情報処理の能力を高めることになる。

In a 2012 study, researchers compared brain images from 50 adult meditators and 50 adult non-meditators. Results suggested that people who practiced meditation for many years have more folds in the outer layer of the brain. This process (called gyrification) may increase the brain’s ability to process information.

この文章だけだと、瞑想の習慣がある人とそうでない人の比較なので因果関係はわからないけども、瞑想の習慣がある人は脳が発達しているということだろう。過大な期待は禁物だけど、やらないよりはやったほうが良さそう。

呼吸ベースの瞑想?マインドフルネス瞑想?

瞑想にもいくつか方法があるそう。上で紹介したのは、呼吸ベースの瞑想で、そのほかにもマインドフルネス瞑想などいくつかの方法があるみたいだ。

マインドフルネス瞑想はよく分からない。まずは呼吸ベースの瞑想でいいんじゃないかなと思う。と、そろそろ長くなってきたのでこの辺りで。